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2006年11月28日

勝連城ものがたり その一

short.jpg 文化庁は、世界遺産登録されている勝連城を次のように説明している。「有力按司、阿麻和利の居城。阿麻和利は一四五八年に国王の重臣で中城に居城した護佐丸を滅ぼし、さらに王権の奪取を目指して国王の居城である首里城を攻めたが大敗して滅びた。これにより、首里城を中心とする中山の王権は安定した。史跡に指定されている」。

 勝連城は、沖縄の城の中でも最も古く、十四世紀初めの鎌倉幕府末期の頃から奈良時代にさかのぼるとも言われているが、築城主は定かではない。おそらく、高度な石造文化の技術を持った人々が渡来して築城したことが想像される。
 勝連城の面積は、六千坪ほどで琉球の城の中では中クラスの規模である。十代目城主として阿麻和利が登場するが、それ以前の歴史は、記録が無く伝説口承の世界になっている。勝連半島は、古くから大和文化の影響の強い地域で、京都、堺の商人達が貿易のために、ひんぱんに訪れていた。
 阿麻和利が滅ぼした九代目勝連城主も望月という本土系の名前で、勝連地域は、北山王国、中山王国、南山王国と同様に、勝連王国と呼ぶほどの、有力な豪族が住んでいたと思われる。
 阿麻和利とは、アマウリ、天から降りてくる偉大な人という意味である。
 琉球国の古英雄、また野望の風雲児ともいうべき阿麻和利の墓は、読谷村にある。  
 阿麻和利は、琉球史の中では一代の逆賊というレッテルをはられ、その伝説は数百年にもわたって語り継がれている。
 時は一四五八年、第一尚家、六代国王・尚泰久のころ、首里王府乗っ取りの野心を持った阿麻和利が、計略をもって中城城主、護佐丸をだまし討ちにしたという伝説となっている。
 次のような風説が残されている。阿麻和利は、妻、百度踏揚の父にあたる琉球国王尚泰久に、護佐丸が首里王府に謀反を抱いていると偽りの報告をし、王府軍をひきいて護佐丸に賊将の汚名をきせて滅ぼした。   
 後に、阿麻和利の謀略を知った妻は、恋人鬼大城とともに、父尚泰久の住む首里城へと逃げ帰る。策略が露見したと察した阿麻和利は、首里城へと兵を向けるが敗退し、勝連へと逃げ戻った。
真相を知った尚泰久王は、すぐさま王府軍をさしむけ阿麻和利を滅ぼすことになる。皮肉なことに、阿麻和利は、護佐丸を討つときに自分が指揮をとった首里王府軍によって、討たれてしまうのである。この通説によって、阿麻和利は琉球歴史上まれな悪役にされ、「忠臣蔵」の吉良上野介とならぶ天下の仇役となっている。
 しかし、この伝説にはいくつかの疑問点が残されているのである。


亀島 靖
1943年沖縄県那覇市生まれ。劇作家、プロデューサー。
主な著書に、「琉球歴史の謎とロマン1〜3」、琉球新報 新聞小説「三十六の鷹」、沖縄県広報誌「琉球歴史人物伝」、沖縄テレビ「沖縄の昔ばなし」原作、琉球放送「源為朝伝説を追え」脚本、CD「耳で聞く琉球歴史の謎とロマン」など。

投稿者 breakjp : 2006年11月28日 14:48